ブックタイトル電子版 多聴多読マガジン Vol.56 2016年06月号 ver 1.0.1

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電子版 多聴多読マガジン Vol.56 2016年06月号 ver 1.0.1

【第47回】「パナマ文書」でわかったこと、まだわからないこと文・沢田博(ジャーナリスト『ニューズウィーク』日本版・元編集長)「パナマ文書」とは何かあやしいよね、とは多くの人が以前から思っていた。権力者は財産を隠したがる(たいてい「正当な」報酬以外の何かを得ているから)。金持ちほどせこい(稼ぎや資産が多ければ多いほど税率も高くなるから、課税を逃れたい思いも強まる)。その「あやしいよね」が、今回のPanama Papers(パナマ文書)で「やっぱりね」になった。gray zone(灰色の部分)が限りなく黒に近くなった。しかし、まだ黒の確証はない。そもそも文書の信ぴょう性も、データの流出元が「自社のサーバーに何者かが侵入し、データを盗んだ」と認めたことと、名前の出た一部の人(アイスランドの首相とか)の「自供」によって担保されているのみ。もちろんICIJ(International Consortium of Investigative Journalists=国際調査報道ジャーナリスト連合)と、今回の調査に参加している各国メディアは独自に確認作業を進めているが、4月10日時点ではその詳細は漏れてこない。そもそも「パナマ文書」とは何か。パナマに本社を置き、香港を含む世界20カ国以上に支社を置く法律事務所Mossack Fonseca(モサック・フォンセカ)が14,000超の顧客の依頼を受け、各地のtax haven(租税回避地)に設立した20万以上のshell company(ダミー会社、ペーパー・カンパニー)に関する登記や契約の書類、その交渉過程の記録などだ。文書数は約1,150万件とされる(2014年にエドワード・スノーデンが暴露したアメリカ政府の秘密文書は約150万件だった)。最初に入手したのはドイツの有力紙「南ドイツ新聞」で、1年ほど前のことだという。各種の報道によれば、始まりは“Hello, this is John Doe. Interestedin data?”という匿名のメール。John Doe(ジョン・ドウ)は「やむを得ざる事情により実名を伏す男性」を意味する(女性ならJane Doeとなる)。もともとtaxevasion(税金逃れ)やmoney laundering(不正資金の洗浄)を追いかけていた記者は「非常に興味あり」と返信し、やがて途方もないデータを入手した。記者は同僚とタッグを組み、こつこつと裏付けを取り始めたが、あまりにデータが膨大なのでICIJに協力を求めた。そうして約80カ国の100以上の報道機関に属する約400人のジャーナリストによる合同調査が始まった。プロジェクト名はPrometheus(プロメテウス)。ギリシャ神話で、神々から火の秘密を盗んだとされる人物の名だ。136 2016 JUNE